人生それなりに生きていると、「行きたくない場所」が出てくる気がします。 「彼氏にフラれた喫茶店に行けない」 「部活がスパルタだった高校の通学路を通ると苦しくなる」 「特に成果も出せずに辞めてしまった会社の最寄り駅に行くと […]

人生それなりに生きていると、「行きたくない場所」が出てくる気がします。

トラウマスポット脱却の旅1

「彼氏にフラれた喫茶店に行けない」
「部活がスパルタだった高校の通学路を通ると苦しくなる」
「特に成果も出せずに辞めてしまった会社の最寄り駅に行くと呼吸が浅くなる」

おそらくは誰しもが持っている「トラウマスポット」。
そのトラウマをどうにか解消したり、気持ちを軽くしてあげたりできたら、心機一転、少し前を向いて歩けるようになる気がする。

そう思って、今回は、ある女性の「行きたくない場所」に同行してみることにしました。

記事配信:じゃらんニュース

トラウマスポット脱却の旅2

やってきたのは、JR池袋駅。埼玉方面の方からすれば東京への入り口として馴染み深い、とても大きな繁華街です。IWGP(※)世代の筆者としては思わずテンションが上がる街ですが……

トラウマスポット脱却の旅3

依頼人のなちさんからしたら、7年ものあいだ解消できない闇を抱えた、立派なトラウマスポットなわけです。

(今回の依頼人)
なちさん
フリーランスの音楽療法士。福祉施設や医療施設に出向き、楽器演奏や合唱を通してリハビリテーションを行うことで、対象者の障害の回復や生活の質の向上を目指している。社会人6年目。
https://m.facebook.com/piccola.capriccio/

トラウマスポットから脱出を試みる

トラウマスポット脱却の旅4
▲少し散歩しながらなちさんのトラウマスポットに向かうことにします。

――今日はよろしくお願いします。なちさんの「行きたくない場所」って、どちらなんですか?

学生時代に働いていた、アルバイト先です。

――おお、定番といえば定番のやつですね? どんなアルバイトを?

とんかつ屋さんで働いてました

トラウマスポット脱却の旅

――とんかつ屋、めちゃ楽しそうじゃないですか!

そうですよね。私も、入ったばっかりのときは本当に楽しかったんですけど。

――何歳くらいのときに働いてたんですか?

大学時代なので20歳くらいのときですね。家と大学の中間にあった池袋駅で、せっかくなら接客業をやりたいな、と思ってバイトを始めたんです。

――接客ってことは、ホールスタッフだったんですね。

そうです。ホールスタッフは基本的に2名体制だったんですけど、接客に専念する人と、キッチンとホールをつなぐ人のタッグで成り立ってるんですね。

――レストランでは比較的よくある座組みな気がしますね。

そうですね! それで、9ヶ月くらい働いていたんですけど。

――けど……?

トラウマスポット脱却の旅5

「一緒に組んでいたお局的な先輩スタッフに楯突いてしまって、そこから一気に仕事がやりづらくなりました」

――ああー、人間関係が原因なんですね……。

そうですね……。いま考えれば、それなりに全うな指示をしてくださっていたと思うんですけど、私は結構トロいところがあるので、それが元からイライラさせてしまっていたみたいなんですね……

――わかる気がします。僕もバイトでそういう経験、ありました。

共感できるかわからないんですけど、組織って、一旦そういった「ダメなやつ」みたいなイメージがつくと、どんどんやりづらくなりません?

――わかるー! 本当にそうです! めっちゃくちゃわかります!!!!

トラウマスポット脱却の旅6

それで、楯突いた末にめちゃくちゃ怒られて以降、スタッフみんなに冷たくされている気がするし、私がホールにひとりの間、キッチンにいる他のスタッフが私の悪口や陰口を言っている気がするようになってしまって、あまりにしんどくて、辞めてしまいました……。

――労働環境としては最悪だ……。アルバイトだったらほかの職場でもいいわけだし、辞めちゃうのも正解だったと思います、それ……。

トラウマスポット脱却の旅7
▲「あそこのビルです」と言って、感慨深くトラウマスポットを見上げるなちさん。いよいよ潜入です。

――今回の企画ですが、際にトラウマスポットに行って、なちさんと何かをすることで「もう大丈夫」って思えたらいいなと、考えているんです。

私も、お店の制服を返してから丸7年、お店があるフロアに入れていないので、いい加減解消したいです。

――それで、せっかくなんですけど、一緒にそのお店のとんかつを食べて、当時のスタッフさんがいたら挨拶をすることで、解消できませんかね……?

え、それ、完全にトラウマ正面突破じゃないですか……?

――そうです。客観的に聞いていて思ったんですけど、7年も経ってたら、当時のスタッフさんも「そんなときもあったね」ってとっくに過去の話にしている気がしたんです。だからきっと、そこでご飯食べたら、少しはスッキリできるんじゃないかなと思えました。

完っ全にお腹痛くなってきました。

――大丈夫! なはず!  説得力ないですけど、僕も一緒に行くので頑張りましょ!!

いざ、トラウマ解消へ

トラウマスポット脱却の旅8
▲ということで、ビルの中へ。エレベーターに乗ると、ますます緊張した面持ちになったなちさん。
トラウマスポット脱却の旅9
▲「あそこのお店です」と、死角になる場所から隠れるように指をさす。ちょっとした探偵気分。
トラウマスポット脱却の旅10
▲お店の前に並ぶ、メニューサンプル。どれも美味しそうなのに、「食欲落ちてきました」となちさんは嘆く。

――たった9カ月だったわけですけど、その間で良かった思い出はないんですか?

あ。一個だけありました!

――お、なんですなんです?

同じホールスタッフの男の子がめっちゃカッコよかったし、好きでした。

――そこだけ聞くと、めちゃくちゃ最高な職場じゃないですか!

そうなんですよね(笑)。すっごく優しく教えてくれるし、家も近かったのもあって、一緒に帰ったりして、幸せでした。

――悪いとこばかりじゃなかったんですねえ。

でも、その恋も終わってしまって……。

――何かあったんですか?

さっき話したお局スタッフと2人でデートに行ってました。

――最悪すぎる。

トラウマスポット脱却の旅11
▲しんどすぎるトラウマに笑うしかない2人。

最初は「3人で飲みに行こう」って言ってくれてたんですよ。私はすでにお局スタッフさんと喧嘩した後だったし、「ああ、仲を取り持とうとしてくれてるんだなあ」って、感動すらしていて。

――おお、いい話じゃないですか。

そしたらある日、キッチンでお局さんとその男の子が「この前たのしかったっすね」って盛り上がってたんです。

――地獄の職場がここにありますね。

もう何も信じられなくなりましたね、あれは。

トラウマスポット脱却の12
▲トラウマ談義に花が咲いたところで、注文していたとんかつ定食が登場。

――とうとうとんかつが登場しましたが、いかがですか?

7年経ったけど、店も料理も、あまり変わってなくて、なぜか少し安心するような……。今日のスタッフさんがみんな知らない人だったのもあると思うんですけど……。

――確かに。例の喧嘩したスタッフさんがいたら、記事としてはオイシイかもしれないけど、なちさんのことを考えるとめちゃくちゃしんどいのは間違いないですね……。

そうですね。たぶん食欲どころじゃなかったと思うし、やっぱり簡単には、解消できるものではないんだなあって思いました。

――そうですよね……。

それでも、「お店に食べに来れた」ってだけで、達成感はすごいですけどね。

――なんだかこちらが救われます。すみません。

トラウマスポット脱却の旅13
▲店に入ってからずっと小声だったなちさん。「美味しい」と顔をほころばせ、こちらが一安心。

――これまで、このビルにすら入ったことがないと仰ってましたけど、試みたことはあったんですか?

何度かありました! 2年前に結婚したんですけど、夫はお寿司が好きで、この店の向かいにあるお寿司屋さんに行きたいって何度か言われたことがあるんです。

――そんなピンポイントなオーダー、あり得ます……?

向かいのお寿司屋さん、昔から人気店で有名なんですよ。だから行きたいって言われてたんですけど、さすがに向かいのお店はハードルが高すぎるから、難しいなあってずっと断っていたんです。

――スタッフさんと遭遇する可能性、めちゃくちゃありますもんね。

そうです、そうです。だからどうしても行く気にはなれなくて、今日まで至ってしまいました。

――7年越しに来て、「美味しい」って言ってもらえて、なんだか安心しました!

トラウマスポット脱却の旅14
▲食べ終わるころには、ゲラゲラ笑ってました。


おわりに

トラウマスポット脱却の旅15

こうして取材はおわりました。

過去に心をえぐった傷はそう簡単に癒えるものではなく、取材後、なちさんは「やっぱり緊張するし、1人でまた食べに行けと言われても、それは難しい気がします」と言っていました。

むしろ、たった一度同行者がいたくらいで解決できるようなトラウマだったら、きっと今回のようにわざわざ取材で行かなくても、解消できていたはずなのだろうなと、企画者でありながら、思い知った部分もあります。

それでも、「当時は、“こんな店、潰れちゃえ!”って本気で思っていたんですけど、今は、こうやって訪れることができる過去があってよかったと思えてるから不思議」と、どこか満足そうに言ってくれたなちさんに、こちらが救われた気がしました。

かんたんには解決できないし、解消できない過去ばかり。
思い出化するにも時間がかかるものもある。

それをわかった上で、ときに距離をとったり、向き合ったりしながら歩みを進めていくことで、いつか救われるタイミングや、笑える日が来るのかなと、自分のトラウマも見返しながら思った次第でした。

皆さんも、いつかトラウマスポットから卒業し、胸を張って新しい生活を始められる日がきますように。

トラウマスポット脱却の旅16
▲お寿司屋さんデート、楽しんで!!

おしまい

IWGP(※)
『池袋ウエストゲートパーク』のこと。石田衣良原作の小説がドラマ化され、当時の若者を中心に大きな話題を呼んだ名作。今見返すとキャストが豪華すぎて、二度と同じメンバーでは作れないドラマと言われている。



出典元

出典元:じゃらんニュース

【じゃらん】有名温泉から穴場まで温泉旅館・ホテル5,000件以上が予約OK!


人気の国内ツアー

関連記事

旅行新聞 最新ニュース速報!

国内旅行ニュース

  1. 白糸の滝
  2. 有馬本温泉 金の湯
  3. 箱根チーズテラス
  4. 仙台うみの杜水族館のダイオウグソクムシみたいなおおきなスイートポテト
  5. 【2020年注目!】東京にオープンする新スポット10選
  6. 2020年4月の延べ宿泊者数は77%減、外国人は97%減、客室稼働率は1割台に -観光庁(速報)
  7. 元里坊 旧竹林院

海外旅行ニュース

  1. ベルトラ、世界各地のリアルな今を伝える旅メディアを新設、現地ツアー会社やガイドからの声で

エアライン最新情報

  1. フィリピン・エアアジア、6月3日からフィリピン国内線の運航再開
  2. セブパシフィック航空とセブゴー、フィリピン国内線の運航を一部再開
  3. カタール航空とUNHCR、人命救助物資の輸送で提携
  4. ANA地域活性化プログラム、6月から11月まで東北特集
  5. エールフランスのパイロット、最高のコンディションで運航拡大に備える
  6. フジドリームエアラインズ、松本空港就航10周年
  7. AIRDOの20年3月期、純利益6割減、コロナで旅客数は9万人減
  8. FDA、6月12日から名古屋小牧発着路線など9路線で運航再開
楽天トラベルは旅行新聞

ホテル・旅館情報

  1. コロナ禍を乗り越える温泉旅館の挑戦、休館中の新たな取り組みから営業再開への思いまで経営者に聞いた
  2. 『ディナーセット』・『お弁当』ホテルの味をご家庭に
  3. 世界大手の旅行BtoB「ホテルベッズ」、予約システムにパートナー事業者の公衆衛生ガイドラインを表示
  4. いまこく テイクアウト
  5. 【テイクアウト】日替わり洋風弁当&ランチBOX
  6. 定額制住み放題サービス「ADDress」、ホテル・旅館と連携、新たな住み方・リモートワークなどのニーズに対応
  7. 変なホテル、家族向けにロボットと滞在するテレワークプラン、仕事中はロボットが子どもの遊び相手に
Facebookでシェア twitterでツイート Pocketに保存 はてなブックマーク Google+でシェア Follow on Feedly ページ上部へ戻る